パリのパン屋さん -La faim sans fin d'un painrisien-

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2007年 05月 04日

ジャコブ通りでアルティザナルなバゲットを


d0123236_814621.jpgプージョランのクロワッサンは、小太りですこしカッコ悪いけど美味しいなあ、ということを書こうと思ったのだけど、このパン屋はすごく有名だし、いろんなブログで書かれているみたいなので、今日は誰もまだ記事にしていないであろう或る小さなパン屋について書こうと思う。といってもこのパン屋は「Le Guide des Boulangeries de Paris」(パリのパン屋さんガイド)では「パリで最高のレトロドールをだす店のひとつ」として1つ星で紹介されている。そしてここのレトロドールは本当に最高なのだ。

 サンジェルマン教会を右手にRue Bonaparte(ボナパルト通り)をセーヌ川のほうへ上がってゆくと、冷凍生地、冷凍クリームのマカロンで有名なLaduree(ラデュレ)がある。その十字路を左手に折れRue Jacob(ジャコブ通り)を少し進むと、Retrodorという看板をかかげた目立たないパン屋さんがある。名前はMaillard(マイヤール)。

 ここのレトロドールはパリのバゲットの中でも最も無骨、妥協のカケラもない。

 レトロドールとはViron社という粉メーカーの小麦粉の名前で、その小麦粉を使って伝統的な製法で作られたバゲットを特に他のバゲットと区別して「Retrodor」(レトロドール)という。毎年開かれるバゲットコンクールで、ここ12年のうち9年はレトロドールで作られたバゲットが優勝しているのは有名な話。

 RetrodorのHPによるとパリでレトロドールをだすパン屋は66軒。パリには1500軒ちかくのパン屋があるのだから、これはけして多い数ではない。日本でも渋谷にViron社と提携したレトロドールをだす店ができて、かなりの人気なのだとか。

 このヴィロン社の小麦粉を使い、無添加で、冷凍処理をせずに作られたバゲットは、写真のようなRetrodorと書かれた紙袋に入れられている(レトロドールでもこの袋を使っていない店もある)。袋に側面にはこうプリントされている。「この袋はバゲット・レトロドールの品質を保証するものです。他の製品をこの袋にいれると法的に罰せられる可能性があります」


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 バゲット・レトロドールの特徴は、歯ごたえの強いハードなクラスト(外皮)と濃厚な小麦の香りだ。そして今回紹介するMaillardのクラストは、レトロドールの中でも特に固い。バリッっとかぶりついたら、歯が吃驚する。僕のおじいちゃんは入れ歯だから食べられないと思う。バゲットに慣れてない人なら「なんでこんな固いねん!失敗やろっ」とツッコむはずだ。だけどこのハードなクラストには味と香りが濃厚に詰まっているのだ。

 上の写真を見て欲しい。美しく立ったクープ、見事な小麦色、名作の雰囲気が食べずとも伝わってくる。


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 クラム(中身)は程よいクリーム色。そして、美味しいバゲットの条件である、メチャクチャに不規則な気泡(alveoles)。


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 最後のとどめは少し焦げたこの底面。小麦の芳醇な香りにほろ苦さが加わり、噛みしめているとまるでノワゼットのような味がしてくる。…舌が驚嘆する。
 右上の写真では、焦げ茶色の底に走ったひび割れが、クラストの分厚さを物語っている。

 日和らない、媚びない、ゆるがせにしない、Maillardの無骨な職人気質のバゲット。
 タフで、ハードで、ワイルドなレトロドール(どうして英語の形容詞ばかりなんだろう。このバゲットはtres francaiseなのに、いいフランス語がでてこない)。

 こんなバゲットはおじいちゃんになったら食べられないだろうから、今のうちに食べとくのだ。バリバリと豪快な音をたてながら…
 
*****

Maillard(マイヤール)
42, rue Jacob, 75006
Metro / Mabillon, Saint Germain des Pres


Retrodor (demie), 0.55euros / 9pts

この日はお金がなくて、半分(demie)しか買えませんでした…


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by painrisien | 2007-05-04 06:13 | バゲット/プティ・パン